ピルロ最後のCL決勝。「圧倒的不利でも可能性はゼロじゃない」 (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文 text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 それでも「イタリアのクラブは欧州で勝てない」とする声があるのは事実で、CL決勝を目前にした今、バルセロナに対してユベントスは「圧倒的に不利」と見られている。それこそ9年前のW杯ドイツ大会でのイタリアがそうであったようにね。しかし、そこでの結果はすべての予想を覆すことになった(フランスを破ってイタリアが優勝)。しかも、W杯ドイツ大会決勝の場所は、今回と同じベルリン......。

 それがどういう結果に終わるとしても、ユベントスが重ねてきた4年の歩みが否定されることはない。むしろ、"天文学的な規模の投資"がなくとも強いチームを作り上げたユベントスは、少なくはないクラブにとって一定のモデルになると思うよ。

――もはや多国籍集団が当たり前とされ、そうでなくては勝てないとされるなかにあって、ユベントスは5人のイタリア人(GKブッフォン、DFボヌッチ、DFキエッリーニ、MFマルキージオ、MFピルロ)をチームの主軸とし、他にも6人のイタリア人(GKストラーリ、DFバルツァッリ、MFパドイン、MFストゥラーロ、FWぺぺ、FWマトリ)が控えメンバーとして重要な役割を担っている。一方、単純に今季の欧州カップ戦で準決勝にまで進んだイタリアの3チームで比較すれば、ナポリは11人中10人が外国人、フィオレンティーナは11人中イタリア人ゼロ。この3チームで決勝に進めたのは、ユベントスだった。

 その意味は、さっき少し触れた「あの9年前のW杯でのイタリア代表がそうであったように」という言葉の中に含めていたつもりなんだ。選手個々が内面に持つ"帰属意識"は濃密である方が良いに決まっている。だからこそ、所属クラブのユニフォームの「重さ」を他国から来た選手に理解させるためにも、やはりクラブの歴史や伝統を知る者が多いに越したことはない。むしろ、そうでなくては本当の意味での結束を得るのは不可能だといえる。もっとも、それこそレアルのように"天文学的な額の投資"によって超一流の集団を作るのならば話は別だろうけど。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る