逮捕者が出ても、FIFAとブラッターは変わらない

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 確かにブラッターは欧米のメディアに受けが悪い。しかしどれだけメディアの批判にさらされても、新しい世界秩序の中でメディアの力が小さなものであることを彼は理解している。

 欧米諸国がFIFAに変革をもたらす力は、実に限られている。ヨーロッパの一部から聞こえているように、彼らはワールドカップをボイコットすることもできる。スポンサーがFIFAを見捨てることもできる。だが、そんなことは実際には起こらないと思ったほうがいい。これまでのFIFAとの長い闘いを見れば、欧米諸国が大きな犠牲を払ってまで信念を貫こうとしないことは明らかだと、米コロラド大学のロジャー・ピールク教授(政治学)は言う。

 ブラッターは欧米の声にほとんど耳を傾けてもいないだろう。米司法長官のロレッタ・リンチが捕らえたのは、これまでもブラッターがときおり司法当局に差し出してきた小者でしかない。

 最近のコンシェルジュのデスクでは、欧米人は列の後ろに追いやられる。欧米諸国の力が弱まる今、「地球規模の変化に、どう対応していけばいいのか」と、ピールクは言う。「非常にむずかしい時代になった。私たちがFIFAを改革できないなら、核拡散や地球温暖化や貿易の問題をどうやって解決していくというのか?」
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