復調した本田圭佑。だが今のミランには何も残っていない (3ページ目)

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari  利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ただこのことは同時に、この2シーズンのミランがどれほど不調であったかをも物語っている。現在ミラニスタが――そしてたぶん密かに選手たちも――待ち望んでいるのは、早く今シーズンが終わってくれないかということではないだろうか。

 最後にミランの株譲渡問題の現状にひと言、触れておこう。ベルルスコーニ会長のコメントは日々変化しているが、現時点での最新の発言は以下のとおりだ。

「ミランというブランドは中国をはじめとしたアジア諸国では非常に人気が高い。一説によると世界のミラニスタは3億5千万人近くいるという。これほどすばらしいミランを経済的に支えていける、それだけの力のあるパートナーを私は探している。こうした出資者を得ることは現代のサッカー界には必要不可欠なことだ。カタールのように国家的規模でPSGなどのクラブチームをスポンサードしているところもあるくらいだ。とにかくミランもこのようなパートナーが現れることを望む。

 しかしもしもそれがうまくいかず、私だけがミランのオーナーを続ける場合には、選手全員がイタリア人というチームを作る構想を私は持っている。今のイタリアのクラブチームにはあまりにも外国人選手が多すぎる。そうした風潮に一石を投じたいのだ。もちろんミラン経営に参画したいという申し出は数多くある。しかしこの決断には慎重の上にも慎重を要する。一度決めたらその決定は簡単には覆(くつがえ)せないのだから、ミランにとって最高の人物でなければならない」

 シーズン終了まであと2節。今度の日曜日はサン・シーロにトリノを迎える。今シーズン最後のホームゲームである。今のミランにはもう何も残っていないが、それでもチームを応援するミラニスタに、勝利をプレゼントして欲しいものだ。


オフィシャル誌編集長のミラン便り>


3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る