特別な一戦に勝利のドルトムント。香川真司を輝かせたもの

  • 了戒美子●text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 ブンデスリーガ2014~2015シーズン最終節。ドルトムントのホーム、ジグナルイドゥナパークは試合前から異様な熱気に包まれていた。公式発表された入場者数は80667人。いつもと同じ満席だが、より多くの観客がつめかけているように感じられた。

 ドルトムントにとってこのブレーメン戦はただの1試合ではなかった。13シーズンにわたってチームを支え、昨年3月、今季限りでの現役引退を発表した元ドイツ代表MFセバスチャン・ケール。7シーズンにわたりチームを率い、黄金時代をもたらした監督ユルゲン・クロップ。ふたりのホーム最終戦だった。クラブにとって象徴的な存在だったふたりがともに去る、特別な一日だった。

ブレーメン戦に先発、1ゴール2アシストを記録した香川真司ブレーメン戦に先発、1ゴール2アシストを記録した香川真司 ウォーミングアップの最中、ケールには花束の贈呈が行なわれた。この日はキャプテンマークもケールが巻いた。通常ならキャプテンはDFフンメルス。報道陣に配られるスタメン表には、フンメルスがキャプテンと印字されていたのを、手書きでケールと書き直されていた。キックオフの直前には「Danke Jurgen」(ありがとう、ユルゲン)という文字とともにクロップをかたどった幕が登場した。勝ち負けよりも、どうにかふたりを温かく送り出そうというファンの意志が強く感じられた。

 結果は3-2でドルトムントが勝利。そしてこの試合、香川真司は今季初めて、どこから見ても文句のつけようのない活躍を見せた。

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