走らないと勝てない。香川真司とドルトムントの現状

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 ドルトムントの連勝が4でストップした。スコアレスドローを演じた相手はハンブルガーSV。毎年のように残留争いを演じ今年も現在15位と、決して強豪とは言えないが、昨季の後半戦から2連敗を喫していた。ドルトムントはこのまま連勝して、一気にチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得圏(4位以内)まで順位を上げたいところだったが、そう簡単ではなかった。

ハンブルガーSV戦に先発、前半で退いた香川真司ハンブルガーSV戦に先発、前半で退いた香川真司 先発した香川真司が語る。

「(ここ2戦勝てていない)苦手意識とかは関係なかったですけど、ただやっぱり連勝して、ちょっと楽観的になっていた感じもあったと思う」

 香川はあくまで自分のこととして、若干の気の緩みについて話したが、その傾向はチーム全体にもあったと捉えるのが妥当だろう。ここまでミッドウィークの試合も立て込み、その中にはCL決勝トーナメント1回戦ユベントス戦や、リーグ戦の行方とは関係なく常に盛り上がるシャルケとのダービーマッチがあった。このハンブルガーSV戦が終われば次の試合まで1週間、間隔があく。ほっと一息ついてしまう気持ちも分からなくはない。

 ほっとしてしまった様を数字が如実に物語る。走ることがトレードマークであったドルトムントだが、その走りに関する数字でことごとくハンブルガーSVを下回ったのだ。この日の出場選手の平均走行距離はハンブルガーSVの10.63kmに対し、ドルトムントは9.6km。ちょうど1キロ少ない。平均スピードもハンブルガーSV6.7km/hに対し、6.5km/hと遅かった。スプリントの本数も、232本に対して229本と、わずかながら負けている。

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