今季リーガ台風の目、バレンシアはこうして復活した (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGAFIA

 傲慢なチーム管理をするオランダ人監督と、その監督の下で戦力外となったベテラン(アルベルダ、カニサレス、アングロ)が対立。このシーズン、バレンシアは国王杯こそ優勝したもののリーガで10位に終わるのだが、最終的に選ばれたのは後者であり、監督はシーズン中に解任された。当時、バレンシアでの成功をステップにバルセロナの監督を目指していると言われていたクーマンの夢は脆くも崩れ去った。

 最近では現在ACミランでプレイするフランス人DFラミと指揮官ジュキッチ(2013年12月に解任)の確執もあった。

 そんなピッチ内外に問題を抱えていたバレンシアに救世主が現れる。それがシンガポール人の資産家ピーター・リムだ。リムはできるだけ多くの回収を望むスペイン金融機関と10月末、クラブ譲渡でようやく合意に達し、オーナーに就任。これにより、クラブは頭を悩ませ続けていた借金問題から解放されることになった。

 それだけではない。リムは移籍市場の主役である代理人ホルヘ・メンデスとともにチームを刷新する。FWロドリゴ、MFアンドレ・ゴメスらピーター・リムの投資ファンドが所有する選手など15人を入れてチーム力を強化し、不平分子候補の選手たちを放出。監督にも新たにポルトガルで結果を残してきたヌーノ・エスピリト・サントを招聘した。ほとんどがチーム所属3年未満、そして平均年齢24歳とリーガ1若いチームはこうしてできた。

 もちろん、力のある選手がいなければ勝つことはできない。過去にヘタフェで経験を積んだFWパコ・アルカセルはスペイン代表まで上り詰め、レアル・マドリードでプレイをしていたMFパレホも代表入りが期待される、チームになくてはならない選手に成長した。マンチェスター・シティから移籍してきたネグレドは前線に高さと強さをもたらし、アルゼンチン代表オタメンディ、ドイツ代表ムスタフィのDFコンビはチームに安定感をもたらした。

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