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FIFA批判止まず。欧州がW杯をボイコットする日

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】欧米対FIFAの闘い(前編)

 腐敗した独裁体制をいかにして倒すべきか。欧米の民主主義諸国にとって、これはおなじみの問題だ。

 いま欧米諸国が標的にしているのは、世界のフットボール界を取り仕切るFIFA(国際サッカー連盟)。会長のゼップ・ブラッターを追い出し、彼が16年間の在任中につくり上げたFIFAの文化を一掃する方法を、多くの欧米人が探している。

W杯優勝国ドイツでも反FIFAの声は強い(photo by JMPA)W杯優勝国ドイツでも反FIFAの声は強い(photo by JMPA) 腐敗した体制の多くはそうだが、FIFAももともとは西ヨーロッパ人がつくったものだ。西ヨーロッパの国々は1904年にパリでFIFAを設立し、1974年まで率いてきた。この年、ブラジル人のジョアン・アベランジェがイングランド人のスタンリー・ラウスを追い出し、FIFAの会長に就任した。

 しかし、西ヨーロッパ人がFIFA内部で「二級市民」になったとようやく気づいたのは、2010年12月2日のこと。ロシアとカタールが、それぞれ2018年と2022年のワールドカップ開催国に選ばれた日だ。

 開催国に立候補しながら敗れた国・地域のなかには、アメリカ、イングランド、オーストラリアがあった。とりわけカタールが選ばれたことは、これらの国々をいら立たせた。灼熱の中東の国はワールドカップの開催国には向いていないと思えた。

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