2戦連続先発のカールスルーエ山田大記、「日々勉強です」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 2012~13シーズン半ばから指揮を執るカウチンスキ監督はかつて同クラブの育成部門で長く指導した実績を持つ。彼のもとでチームはメキメキと力をつけ、飛び抜けた個よりも、総合力で勝負できる数少ないチームとして成熟してきた。

 さらなる飛躍を目指す今季、9番を背負うのが新加入の山田だった。獲得に関しては、2年前にボーフムのスポーツディレクターとして山田をピックアップしていたイエンストッド氏が、昨年から席を置くカールスルーエで再びオファーしたのだという。

「(Jリーグもシーズン中で)難しい状況だったり、ジュビロと一緒に昇格したい気持ちもありました。でももう25歳なので、代表にもさほど絡んでいない自分にこんなチャンスはないだろうと思った。正直、みんな、(自分に)オファーが来るとは思ってなかったでしょう?」

 山田は茶目っ気たっぷりに、現在の心境を語る。

「カールスルーエが2部だということも分かっていたけど、昨季も、少し波はあるけど組織的ないいサッカーをするっていうのを聞いていた。もしこのチャンスを逃したら、このまま歳をとって、『あのとき海外に行っていれば......』と、サッカーをやめた後も思うんじゃないかと思って」

 ジュビロへの愛着もあった山田は、こうして選手としての決断を下した。現在はピッチ外でも新しい環境を楽しんでいる様子。「街の印象はめっちゃ、いいんですよ。人がいいんです」と、嬉しそうに語る。

 開幕戦に先発すると、よく街の人に声をかけられるようになった。「お前はいい選手だけど、チャンスは決めなければな」と、檄も飛ばされた。「うちは小さいクラブだけど、戦わないやつは応援しない。でも下手でも戦うやつは応援する」とも言われ、ピッチでは強さを感じさせるプレイを意識するようになったのだそうだ。

 まだまだシーズンは始まったばかり。言葉も分からない。FSVフランクフルト戦では、自分が退いたあとに同じポジションに入った選手のプレイを見ながら、「あの指示はこういうことだったのか」と理解できたと素直に明かした。「日々勉強です」と屈託がない。

 山田はカールスルーエにどのようにフィットし、どのように成長していくのか。2部ながら楽しみな存在になりそうだ。

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