決勝進出の立役者、マスチェラーノが学んできたこと (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

「アルゼンチン人にとってのアルゼンチン代表を説明しても、アルゼンチン人にしか伝わらないかもしれない」

 そう語る彼は、学んできたことのすべてをピッチで表現している。アンカーとしても、センターバックとしても、その質の高さは他の追随を許さない。結局のところ、どちらのポジションもできるようになったことが、アルゼンチン代表に還元されている。今やチームを動かすリーダーである。

「アルゼンチン代表はマスチェラーノ+10人だ!」

 あのディエゴ・マラドーナにそう言わしめるだけのパフォーマンスを、彼はブラジルW杯で見せ、決勝まで勝ち進んだ。

「アルゼンチン代表は長年、W杯優勝を目標に掲げながら、期待を裏切り続けてきた。その重圧は凄まじい。でも、なんとかあのカップを掲げたいと思う」

 マスチェラーノは大会前に語っていた。彼以上のクオリティーを見せている選手は他にいない。中盤にいても、ディフェンスラインにいても、トータルな能力を発揮する。そのプレイには、彼のフットボール人生が投影されている。


  

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