ブラジルに敗れるも、日本のヒントになったチリの激闘 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

 それでも、チリは敗れている。彼らの失点はネイマールが蹴ったCKを、チアゴ・シウバ、ダビド・ルイスという長身センターバックに合わされた形だった。やはり高さ、強さの不足は補えていなかったとも言える。

「満足しているか、と問われたら、俺には分からない。おそらく、してはいないだろうな。俺たちは歴史を作ろう、と夢を持って闘った。そして全てを出し尽くした。ピッチに命をかけた、その自負だけはあるさ」

 チリのMFアルトゥーロ・ビダルは試合後に語った。

 闘った者の敗北を笑う人はいないだろう。チリは間違いなく、フットボールの可能性を示した。ビダルの表情には、敗れざる者の美しさが浮かんだ。

 アタッキングフットボールとは?

 それは闘うことによってのみ得られる、と言うことを、チリは王国との戦いで、身をもって教えてくれた。

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