スペイン敗退。前回王者が自滅したふたつの理由

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 チリとスペイン。両国は前回南アフリカW杯でも同じグループで対戦している。結果はスペインの2-1。だが、チリの戦いぶりは見事だった。悪い敗れ方ではなかった。10回戦えば五分の星を収めそうな、相性の良さを見せつける戦いをした。

 昨年9月に行なわれた親善試合では2−2。終了間際、スペインのヘスス・ナバスに同点ゴールを許して引き分けたが、試合内容も五分だった。

 スペインにはチリに対して苦手意識が少なからずある。今回、両国が再び同じ組で戦うことが決まった時、接戦必至と予想した。

チリを崩せなかったイニエスタ(右)らスペイン攻撃陣チリを崩せなかったイニエスタ(右)らスペイン攻撃陣 試合前、スタメン表を見て、その思いはさらに深まった。第1戦のオランダ戦でミスを犯していたカシージャスが、相変わらずそこに名を連ねていたからだ。カシージャスは今季、所属のレアル・マドリードで、国内カップ戦とチャンピオンズリーグ(CL)では先発出場したが、国内リーグ戦はサブ。正GKとして出場していたわけではない。

 スタメン出場した先のCL決勝、アトレティコ・マドリード戦では、自らのミスで失点を許していた。もはや心配で、見ていられない状態にあった。だが、デルボスケは、彼をサブに回さなかった。スペインにはレイナ(ナポリ)という優秀な第2GKがいるにもかかわらず。

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