キャプテンC・ロナウドがポルトガル代表で輝けない理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA

 最も鮮烈な印象を残したのは、ルーキー同然で参戦したEURO2004だった。ルイス・フィーゴ、ルイ・コスタ、ビトール・バイアなど、長年ポルトガルを支え続けてきたベテラン選手たちに可愛がられ、負けん気の強いプレイを存分に発揮した。決勝ではギリシャに敗れて涙に暮れたものの、大会を彩る活躍だった。

「クリスティアーノの時代が到来する」

 ポルトガル人記者たちは沸き立った。ところが老練な選手が代表を退き、彼自身が代表の双肩に担うようになると、ポルトガルは優勝争いから遠ざかった。ブラジルW杯欧州予選に至っては、スウェーデンとのプレイオフをどうにか制し、本大会に駒を進めている。

「C・ロナウドはいい奴さ。フットボールを誰よりも愛している。ただエモーショナルな選手なんだ。だから、チームを引っ張る選手としてはふさわしくはない」

 レアル・マドリードの関係者たちはそう口を揃える。C・ロナウドはキャプテンという柄ではないのだろう。例えばマドリードのシャビ・アロンソのように、集団をマネジメントできるキャラクターの選手がいることで、その実力を発揮できる。

 一人でフットボールは勝てない。過去、たった一人でチームをW杯決勝に導いたのは、ディエゴ・マラドーナだけだ。しかしアルゼンチンの天才のようなひらめきや技術力は、このポルトガル人スターにはない。

 6月22日(現地時間)、ガーナに逆転勝利して勢いに乗るアメリカを相手に、C・ロナウドは孤高の戦いを挑む。

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