ポルトガルに「省エネ」で快勝。ドイツ唯一の誤算は? (3ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 対して、優勝候補ドイツは完璧なスタートを切ることに成功したと言える。

「後半は、前半とはまったく違う試合になった。今日は暑かったし、狙いとしては次の2試合のことを考えて省エネで戦い、何よりボールキープを心がけるようにしたんだ」

 余裕の表情でこう語ったレーブ監督にとっては、相手の自滅とはいえ、願ってもない試合展開だったに違いない。

 中盤の核を担うバスティアン・シュバインシュタイガーや、ストライカーのミロスラフ・クローゼがまだ万全ではないために、ベストメンバーを組めなかったにもかかわらず、1トップで使ったミュラーが後半78分にも加点してハットトリックを達成したのだ。また、フィリップ・ラームを中盤の底に置いた4-3-3もまずまず機能し、ポルトガルが誇る両ウイングであるロナウドとナニの対策として、サイドバックに起用したセンターバックタイプのジェローム・ボアテングとベネディクト・ヘーベデスも、しっかり役割をこなした。

 何より、サルバドールの酷暑の中、グループ最大のライバルと目されたポルトガル相手に最小限のエネルギーで勝ち点3を手にしたことは、優勝を目指すチームとしては最高のスタートと言える。唯一の誤算は、センターバックのフンメルスが後半73分に負傷交代したことかもしれない。

 もちろん、この試合は相手の自滅が大きく影響した部分があるので、まだドイツ本来の姿が見えたとは言い切れない。しかし、2006年、2010年と連続して準決勝で涙を呑んでいる優勝候補にとっては、2002年大会以来のファイナル進出というターゲットに向かって、順調な滑り出しを見せたことは間違いない。

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