D・コスタ復帰も、連覇目指すスペインに3つの不安材料 (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • Photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 だが、そんなスペインにも死角となる点がいくつかある。まずは単純にチームの高齢化だ。平均年齢は28歳91日。選手として脂がのる年代ではあるが、GKカシージャス、MFシャビ、MFシャビ・アロンソ、ビジャ、トーレスなど、主力に30オーバーの選手が多く出てきたことは、大きな国土を持つ国での1ヵ月の長丁場を戦う上で不安が残る。どれだけ良いコンディションをキープできるかがカギになる。

 また、ディエゴ・コスタに関しては未知数の部分が多い。本調子であろうとも、CFにとってスペイン代表のサッカーは、自由に使えるスペースが少ないプレイしづらいスタイル。代表での試合数がわずかに2試合では、どんなサッカーをするのか、まだ感触を掴んだぐらいのものだろう。

 しかもスペインは、ジョレンテ、ネグレドといったタワータイプのFWや、試合のリズムを変えられるヘスス・ナバスを、コンディション不良でメンバーから外しており、デル・ボスケ監督がオプションBであるパワープレイのサッカーを諦めていることも気がかりだ。

 メンバーで言えば不安なのは守備の選手層。サイドバックの選出はわずかに3人。アスピリクエタが両サイドを出来ることや、万年第4CBのアルビオルをサイドに回すことで一応の頭数は足りているものの、ケガや累積警告を考えれば、やはりもう一人、サイドバックを入れておくべきだっただろう。

 そして最後に、スペイン国内やメディアの雰囲気が、現時点ではまだW杯モードでないことも気がかりだ。選手の会見では代表の話よりもセスクの移籍話がフォーカスされ続けているほか、ディエゴ・コスタの移籍先などが話題の中心を占めている。

 いい意味でいえば自然体のまま時を過ごしているスペインだが、「オランダに勝つことが出来なければ、自分たちは苦しい状況に追い込まれる」とシャビ・アロンソが語るように、13日の初戦、オランダ戦の結果次第では、大会連覇の信号は赤に近い黄信号になる可能性も十分にある。そしてそうなれば、まるでこの世の終わりのようにメディアが騒ぐことだけは間違いない。

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