ドイツの死角。定まらない最終ラインと多彩すぎる攻撃陣

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 ブラジルW杯優勝候補の一角に挙げられるドイツだが、ドイツ人は冷静に見ている。キッカー誌がウェブ上で行なった「ドイツ代表はどこまで行けると思いますか?」というアンケートによると、最も多い回答は「準々決勝まで」の30.43%だった。ついで準決勝という声が24.72%、第3位は優勝で14.82%。回答数が3万を越えた全国的なアンケートだが、なかなか渋い結果が出たといえるのではないか。

 北米などでの合宿は行なわずに欧州で調整を続け、6月1日にカメルーン(FIFAランキング56位)戦(2-2のドロー)、5日にアルメニア(FAFAランキング38位)戦(6-1の勝利)と、自国内で調整試合を行なったドイツ代表は、7日にブラジル入りした。

アルメニア戦でゴールをあげたポドルスキー(ドイツ)アルメニア戦でゴールをあげたポドルスキー(ドイツ) 初戦が日本の2日後の現地時間16日と遅いこともあり、調整は他国に比べスローペースだ。欧州チャンピオンズリーグ決勝(5月24日)出場者こそいなかったが、バイエルンとドルトムントが戦ったドイツ杯決勝(5月17日)に多くの代表メンバーが出場していることを考えると、この日程はコンディション調整の面ではラッキーだった。

 ただ、おおむね順調に見えていた調整だが、国内最終戦となった5日のアルメニア戦でMFマルコ・ロイスが左足首靭帯を断裂するというショッキングな出来事が起きた。ロイスはメンバーからの離脱を余儀なくされ、代わりにイタリア・サンプドリアでプレイする22歳のDF、シュコドラン・ムスタフィが招集された。4-2-3-1の2列目の左、もしくは中央でプレイし、快速ドリブルとシュートの精度が売りのロイスの代わりがなぜディフェンダーだったのかについて、レーヴ監督はこうコメントしている。

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