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18年ぶりリーガ制覇!シメオネがアトレティコにもたらしたもの (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSU FOTOGRAFIA

 実際、シメオネもメディアに対しては「自分たちは1試合ずつ戦っていくだけ。優勝の本命ではない。リーガは2強の争い」と、たとえチームが首位に立っても、アトレティコが1チャレンジャーでしかないことを強調していた。ただしOBで90年代の名FW、キコによると、選手たちには「優勝できる」と語っていたそうだ。

 クリスマスが過ぎ、春が訪れてもアトレティコの順位が落ちることはなかった。リーガの盛り上げ役に指名されたアトレティコは、アルゼンチン人監督が会見のたびに口にする"謙虚さ"を隠れ蓑に、外部からの余計なプレッシャーを取り除き、周囲が気付いた時には、ジエゴ・コスタ、GKクルトゥワ、MFコケらを中心に、欧州でもトップクラスへと成長したリーガタイトルを争うチームへと成長していた。

「アトレティコが見せているのは、献身、謙虚さ、チームとしての働きといった価値が勝利を呼び寄せるということ。その価値はシメオネが一つにまとめあげたものだ」

 古巣の成功について、チェルシーのスペイン代表候補、フェルナンド・トーレスはそう語っている。アトレティコの成功は、負け犬根性が染みついていたチームに勝利のDNAを注入したディエゴ・シメオネの存在を抜きに語ることはできない。

 狡猾なプレイを見せていた現役時代同様、監督となってもこのアルゼンチン人は味方に喝を入れ続け、周囲を煙に巻きながらチームを勝利へと導き続けた。アトレティコ・マドリードはシメオネが就任してからの2年半で4つのタイトル(リーガ、国王杯、ヨーロッパリーグ、UEFAスーパーカップ)を獲得したことになる。近年レアル・マドリードの影に隠れ続けていたスペインサッカーの古豪が今、復活の雄叫びを上げている。

 18年ぶりの優勝はアトレティコ・マドリードにとってこれ以上ない大きな喜びだ。だが、これで彼らの戦いが終わったわけではない。シメオネ率いるチームには5月24日(現地時間)、リスボンで行なわれるチャンピオンズリーグ決勝で宿敵レアル・マドリードを破り、欧州王者になるという戦いが残されている。

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