無冠濃厚でサポーターから罵声。普通のチームになったバルセロナ (3ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 実際、最悪だと言われる今シーズンも、リーガで現在3位につけており、CL準々決勝進出、国王杯決勝進出と、少しの運がほほ笑んだなら、これまで通りにタイトルを獲得していてもおかしくないシーズンだった。

 メッシ、イニエスタ、シャビ……世界トップクラスの選手たちが見せる美しいパスサッカーをベースに、4年で14個のタイトルを獲得したグアルディオラのドリームチームが残した結果とインパクトはあまりにも大きかった。だからこそ、周囲の目と期待のハードルは大きく上がり、「合格」と言われる基準も大きく引き上げられてしまったのだ。

 グアルディオラ監督以前のバルセロナであれば、たとえ無冠でもレアル・マドリードに勝つことで免罪符をもらえていた。だがグアルディオラ以後のチームは、レアル・マドリードと同様、タイトルを獲得することが義務付けられ、欧州でトップに立つことが宿命づけられるようになってしまった。

「勝利は麻薬みたいなもの」

 黄金時代にそんな話をしていたのはシャビだった。あまりにも多くの成功をつかみ、多くの人々を酔わせてきたバルセロナだからこそ、勝利を失った時の反動はとても大きなものとなっているのだ。

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