2014.04.10

美しい散り際。CLで今季も見せたドルトムントらしさ

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ファーストレグを0-3で折り返し、逆転するには4点とらなくてはいけない状況でスタートしたセカンドレグだった。ファーストレグでの大敗後、メディアから「もう終わったみたいなものですね」と聞かれ激怒したクロップだったが、前日会見のコメントはどこか弱気も感じられた。「奇跡は事前に予測できるものではなく、口にすべきではない」「去年は決勝で去ったが今年は準々決勝になりそうだ」「でもまだ挑戦は終わっていない」......と、自信のなさが透けているように見えた。

 一方のアンチェロッティは、「1点を取りにいく」と明言。アウェーで1ゴールを追加すれば、ドルトムントは逆転するには5点取らねばならなくなる。いずれにしてもレアルが圧倒的優位に立っていた。
 
 レアルはファーストレグで途中交代し、先週末のリーガは欠場しているクリスティアーノ・ロナウドをベンチに置いて、イジャラメンディを先発させた。アンチェロッティが「いこうと思えばいけたが、大事を取った」と言うように、いわば余裕を見せた形だ。的確に行なわれた3枚の交代でもロナウドが姿を見せることはなかった。逆にドルトムントは主力6人を欠く状態だった。つきない負傷者と苦しい台所事情、層の薄さは、今季ブンデスでもバイエルンの独走を許した要因だろう。バイエルンやレアルのライバルとなるべき存在としては機能することができなかった。

 それでも、この日はレアルを相手にあと一歩まで迫った。あきらめるそぶりなどみじんも見せなかった。CFレバンドフスキーから始まる前線からのハイプレスでボールを奪い、間髪入れずに攻め上がるショートカウンターのサッカーは健在だった。ボールを奪取した後に味方同士のタイミングが合わないなど、オートマティズムを欠いたのは事実だが、MFロイスの2ゴールで前半のうちに2-0とし、後半にもいくつものチャンスを作って相手を追いつめた。

 その勢いは、ベンチのクリスティアーノ・ロナウドが立ち上がったまま戦況を見つめていたほどだった。だが、あと一歩が及ばなかった。チームの核であるDFフンメルスは「悲しく終わった素晴らしい夜だった」と表現した。