代表選出の細貝萌。なぜドイツと日本で評価が分かれるのか (2ページ目)
昨シーズン在籍したレバークーゼンでは、本職のボランチでの出場機会をなかなか得られなかった。サイドバックとして9試合に連続出場したのだが、その最初の試合でバイエルン・ミュンヘンに勝利したことが大きなきっかけとなった。サイドバックというポジションでも、やはり守備面での評価が高かった。その後、シャルケ戦では右MFのファルファンを封じ、キッカー誌のベストイレブンにも選出され、そのプレイぶりは「スズメバチ」と表現された。相手を常に刺し続ける。ドイツ人の目にはそんな風に映ったのだ。
現在のヘルタでは、ルフカイ監督からボランチとして高い信頼を得ている。ルフカイはアウクスブルク時代、細貝のビデオを見て獲得を決めた張本人である。そのことについては細貝自身もことあるごとに感謝の言葉を口にする。そのルフカイの起用法を見ていても、やはり守備的な部分への高い評価が感じられる。
例えばアウクスブルク時代の2011~12シーズン、ドルトムント戦。当時首位をひた走っていたドルトムントの中心は明らかに香川真司だったが、その香川を70分で途中交代に追い込んだのは細貝のマンマークだった。同じくブレーメン戦でのドイツ代表マルコ・マリン(その後チェルシーへ移籍し、現在はセビージャでプレイ)へのマークもそう。的確に目的を遂行する彼につかまったら、逃れることはできないのだ。
その働きを高く評価するルフカイは、昨季終盤にヘルタの監督就任が決まると、直接細貝に連絡をとった。ヘルタにはすでに優秀なボランチがおり、細貝は彼らと競争する必要がある旨も伝えている。結局、指揮官の期待に応えてチャンスをつかんだのは細貝だった。
プレシーズンにヘルタがパレルモと練習試合をした際、細貝への激しいチャージが行なわれると、ルフカイが激怒したというエピソードが残っている。そんな話がメディアの紙面を飾るのも、それだけ細貝が注目されているからだ。ルフカイの信頼を得ていることと、レバークーゼンという強豪から昇格チームへ移籍してきたということで、ファンの間では開幕前から救世主のように扱われていた。
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