内田篤人奮闘も及ばず。シャルケCL敗退の危機 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

 次いで今季から10番を背負うドラクスラーがインフルエンザとも言われる体調不良で2日前の練習を休んだ。4-2-3-1の2列目の左でプレイ、ドリブルでペナルティエリアに侵入しゴールを狙うスタイルで多くのチャンスを演出してきた。そんな攻撃の要がベンチスタートするのがやっとの状態だったことは、無得点に終わったことと無関係とは言えないだろう。

 そして最後にボアテングの離脱だ。遠征メンバー入りし現地入りしたものの、古傷である左ひざの故障が再発した。内田篤人は「ひざが悪いのは知ってるから、まあ今さら(驚くことでもない)」と、 離脱による影響はないことを強調した。だがこの日の、1トップのシャライ、トップ下のマイヤー、そして左には主にSBでプレイするフクスが入るという組合せと、シャライ、ボアテング、ドラクスラーの3人の組み合わせを比べると、個人の迫力も、慣れているからこそのオートマチズムも全く違う。故障者の影響は少なからずあった。

 それでもブカレスト相手に無得点というのは問題だ。「少ないチャンスを生かしきれなかった。特に後半」と内田は振り返った。

 前半は互いに守り合う硬い展開だったが、後半に入ってスペースが生まれると両チームにチャンスが生まれる。ブカレストは主にカウンターでチャンスをつかみながら、ペナルティエリアに入る前のプレイに正確さを欠き決定機には至らない。この日のブカレストは雪が降り、気温は0度。開閉式の屋根は閉まっていたが、それでもピッチ状態は悪く、途中でボールが止まるようなシーンも見られた。その影響もあり、シャルケの攻撃もゴール前で迫力を欠き、これといった決定機を作れなかった。

 そんな中で、内田個人のプレイには光るものがあった。相手のエースである左MFを封じ、大きな仕事をさせなかった。加えてチャンスと見るや一気にゴール前まで上がっていく。その勢いと思い切りは、昨季までとは比較にならないほどだ。

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