けっこうヤバイ?本田圭佑が移籍するミランの実情 (2ページ目)

  • クリスティアーノ・ルイウ●取材・文text by Cristiano Ruiu 宮崎隆司●翻訳 translation by Miyazaki Takashi

 W杯直前の5カ月間という極めて重要な時期を、本田はミランで過ごすことになる。とすれば、本田が加入する1月からシーズン終了(最終節=2014年5月18日)までに起こりうる出来事を想定しておくべきだろう。

 考えられる事態は、大きく分けて3つある。来年1月「新監督就任」、4月「クラブ首脳陣が一新」され、「新体制が幕を開ける」。順を追って3つの中身を見ていきたい。
 
「新監督就任」とテクニカルスタッフの交代は規定路線と言って差し支えない。国内リーグで11位に沈むミランは、今季の目標を以下の2点に絞っている。
(1)今季のCLで最低でも決勝トーナメントへ進出
(2)コッパ・イタリア制覇

 したがって、今年中に結果を見る(1)をクリアすれば、以降は新体制のもと来季に向けたチームづくりを行ないながら(2)も狙う路線へと舵を切ることになる。もちろん、このふたつの目標は今季リーグでの順位挽回をあきらめたとさえ言えるのだが、これは現監督アッレグリの求心力低下と同時に、首脳陣の一新に向けた動きを背景としている。そして、これこそがミランが揺れに揺れている問題の根幹である。

 オーナーであるベルルスコーニの娘、バルバラ・ベルルスコーニがクラブ幹部として初めて名を連ねたのが2011年1月であり、以降、この女史は体制内で実父に次ぐ地位を狙い続けてきた。一族支配の体制にあってはよくある話なのだが、とはいえ、これが28年に渡り事実上のトップとして全権を委ねられてきたガッリアーニGMの"追放"と同義であることから、クラブ内に激震が走る事態に陥っている。

長年に渡りミランのGM職にあるガッリアーニphoto by Getty Images長年に渡りミランのGM職にあるガッリアーニphoto by Getty Images 今季これだけ不振であってもいまだアッレグリが監督の座にあるのは、他ならぬガッリアーニの信任によるものである。したがって、この現GMが失脚すれば監督交代は必至。その後任人事はバルバラが主導するというわけだ。

 そして、この新体制の布陣はすでに固まりつつある。バルバラの下でGMの地位に就くのは、ガッリアーニと「犬猿の仲」であるミランの元主将、パオロ・マルディーニと言われている。そして、この「バルバラ-マルディーニ」体制下で監督の座に就くと目される最有力候補は、やはり反ガッリアーニ派である元ミランの名手、クラレンス・セードルフだ。現在はブラジルのボタフォゴでプレイするセードルフだが、監督になるために必要なライセンスを間もなく取得し、ブラジルリーグは12月に幕を閉じる。

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