王者バイエルンに沈黙。本田圭佑はCLでインパクトを残せるか (2ページ目)

  • 山口裕平●文 text by Yamaguchi Yuhei
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 バイエルンが理想的な時間帯に得点を重ねたことで試合を優位に進められたことも認めなければならないだろう。キックオフの笛が鳴ると間もなく、CSKAサポーター席では発煙筒が焚かれたが、その灯が消えるとともにCSKAの希望の灯も消えてしまった。前半3分、バイエルンがペナルティエリア付近でFKを獲得すると、アラバの左足から放たれた無回転気味のボールは壁を越え鋭く落下しCSKAゴールに突き刺さった。

 この失点でCSKAのゲームプランは崩れてしまった。だが、彼らのやることは変わらなかった。自陣深くにブロックを築き、相手からボールを奪ったら本田とFWムサの2人でゴールを目指す。7割近くボールを支配されては、CSKAにも他に戦いようもなかった。

 前半終了間際にマンジュキッチのヘディングからバイエルンが追加点をあげた時点で、勝負の行方はほぼ決してしまっていた。後半にもロッベンの強烈な左足で3点目を奪ったバイエルンにはケガ明けのシュバインシュタイガーをピッチに送り込む余裕すらあり、勝利を確信したファンは時計の針が80分を回ると席を立ち始めた。

 本田にインパクトを残すチャンスが全く無かったわけではない。3点目を失った直後には、ゴール前フリーでパスを待ちうけるも、味方のパスが合わず。10分後にはエリア内で胸トラップが大きくなり、シュートを放つことができなかった。試合終了間際にも相手DFとの1対1を迎えるが、時間が掛かりすぎ、戻った相手にカットされてしまった。

 今季リーグ戦5試合で2失点、3完封のバイエルンを相手にゴールを奪うというのは並大抵のことではない。それを本田に求めるのは酷だったのかもしれない。それほどまでにバイエルンとCSKAとの間には大きな差があった。だが、それすら本田にとっては言い訳にしかならない。

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