ウェイン・ルーニーが移籍すると、香川真司の立場はどうなる? (3ページ目)

  • 鈴木英寿●文 text by Suzuki Hidetoshi
  • photo by AFLO

 たしかに、昨季多くの試合でトップ下を務めたルーニーがオールド・トラッフォードから離れれば、左サイドを任された香川は信頼のおけるサポート役を失うことになる。日本代表の10番のプレミアリーグにおける昨季のハイライトは、間違いなくノリッジ戦でのハットトリックだったが、この試合で香川をアシストしたのは、他ならぬルーニーだった。ルーニーは利己的なプレイだけではなく、利他的なプレイにも徹することができる。パスのバリエーションとアイデアの豊富なイングランド代表の10番を失えば、香川にとってはデメリットとなるかも知れない。

 ただ、モイーズは「ポスト・ルーニー時代」となる新生ユナイテッドの構想を、すでにしっかりと描いている可能性がある。というのもユナイテッドは、すでにバルセロナのセスク・ファブレガスを獲得しようと動いているからだ。アーセナル時代に十二分な実績を残したセスクは、プレミアの水を熟知した名MF。バルサやスペイン代表でも披露してきたように、セスクは優れたパスセンスのみならず、セカンドアタッカーとしての能力にも長けている。もしルーニーが移籍しても、香川のトップ下での能力を考えれば、セスクはこれ以上ないにパートナーとなるだろう。

 ルーニーの去就、そしてセスク獲得の可能性――。この夏のユナイテッドは、ふたりの大物の動向が最大の話題となっている。プレミア2年目を迎える香川としては、まずは7月23日の横浜F・マリノス戦から合流するプレシーズンで、十分な実績を残したいところだ。プレシーズンで十分な信頼をつかんだうえで、ルーニーが移籍することになれば、来季のユナイテッドでトップ下のファーストチョイスの座は、間違いなく香川真司のものとなるはずである。


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