CL決勝前夜に両チームの監督・選手が語った心境 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 しかし、バイエルンの選手たちが平常心で試合に臨めるという点では、むしろ今季のほうが望ましい環境だと言えるのかもしれない。実際、バイエルンMFのトーマス・ミュラーは落ち着いた様子で「まったく緊張はしていない。いつものCLの試合と同じだ」と語っている。

 今季の成績を見れば、バイエルン優位は明らかだ。ブンデスリーガの順位では、優勝したバイエルンにドルトムントが2位で続いてはいるが、勝ち点ではバイエルンの91に対し、ドルトムントは66と空前の大差がついている。

 バイエルン監督のユップ・ハインケスが「今季はブンデスリーガで特別なこと(史上最速優勝)を達成した。いつも通り、同じことを続けるだけだ」と、あくまでも平常心を強調するのは、裏を返せば自信の表れなのだろう。

会見でリラックスした表情を見せるバイエルンのラーム(左)とミュラー(右)会見でリラックスした表情を見せるバイエルンのラーム(左)とミュラー(右) しかも、バイエルンは今回が最近4年で3度目の決勝進出とあって、大舞台での経験も豊富。バイエルンDFのフィリップ・ラームは「4年で3回目の決勝だからといって、タイトル獲得が保証されているわけではない」と気を引き締めるが、バイエルン優位と見るのが妥当な判断ではある。

 ただし、ブンデスリーガ、ドイツカップを合わせた今季の直接対決では、バイエルンの1勝2分け(カップ戦で1勝、リーグ戦で2分け)と大きな差はついていない。ドルトムントMFのセバスチャン・ケールが「お互いがどうプレイするのか、戦術的にもよく知り合っている」と話す顔合わせは、下馬評で優位のバイエルンのほうにこそ、やりにくさがあっても不思議はない。ケールが続ける。

「誰もが気にしないような、ちょっとしたことが勝負を分けると思う」

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