ドイツ勢同志のCL決勝直前、現地報道はドルトムントの圧勝

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by GettyImages

今やドイツで時の人。ドルトムントのユルゲン・クロップ監督今やドイツで時の人。ドルトムントのユルゲン・クロップ監督 ブンデスリーガが先週末に終了したこともあり、ドイツメディアの話題は欧州チャンピオンズリーグ一色となっている。

 スペインやイングランドの強豪を抑えてドイツの2チームが決勝進出したことが何よりも嬉しいようで、キッカー誌は「ゲームの中のゲーム」という表現で、特別な試合であることを誇示している。決勝のチケットの相場は2枚セットで5150ユーロ(約68万円)にもなるとかで、昨年の決勝(バイエルン対チェルシー)と比べてもビッグマッチであることを大きく伝えている。今週に入ると試合を中継する衛星放送SKYのCMも頻繁に見かけるようになり、決勝に向けた盛り上がりは最高潮だ。

 主要メディアの報道を見てみると、ストーリーや話題性の多いドルトムントのほうがバイエルンよりも取り上げられる回数が多い。

 最大の話題は、8歳からドルトムントの下部組織で育った生え抜きであり10番を背負うゲッツェが、バイエルンへと移籍することだ。一方、ゲッツェと共に今のドルトムントの看板選手となったCBフンメルスはバイエルンの下部組織育ちだ。

 そのフンメルスは「ゲッツェの移籍で何日かよく眠れなかった」とショックを隠さない。 「でも、これはドルトムントが(欧州で)トップ5のチームじゃないということ。トップ5のチームでプレイしたかったら、移籍するか、自分たちがここで勝つかのどちらかだ」と、決勝に向け気合いを入れ直している。

 そのゲッツェが負傷により決勝のピッチに立てないことが、22日、ドルトムントのサイトで発表された。チャンピオンズリーグ準決勝レアル・マドリード戦での接触プレイで起こした太ももの故障が完治せず、MRIを受けた結果、出場不可能と判断された。ゲッツェ本人は「重要な試合でチームの役に立つことができず非常に申し訳ない」とコメントしているが、ビルト紙は「ドルトムントでの最後の試合をゲッツェはファンとして観るだけになった」と皮肉っている。ファンの関心はゲッツェの代役を誰が務めるか、布陣はどうなるのかに移っている。

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