【CL】マンU敗退。C・ロナウドと香川真司、それぞれの胸中

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 試合後、握手をかわすクリスティアーノ・ロナウド(左)とウェイン・ルーニー 試合後、握手をかわすクリスティアーノ・ロナウド(左)とウェイン・ルーニー 試合前、両チームの選手たちがピッチに散らばりキックオフの笛を待つ。オールド・トラッフォードでは、その間に選手の名前がアナウンスされる。この日はまずマンチェスター・ユナイテッドの選手が、続いてレアル・マドリードの選手が呼ばれていった。その最後に、「お帰りなさい!」という言葉と割れんばかりの拍手の中、クリスティアーノ・ロナウドの名が響いた。

 ロナウドは自分の胸をたたき、左手を軽く挙げて場内に挨拶をした。感激の面持ちなのはスタンドから見ても一目瞭然。少しうつむきながら感じ入っていた。そうやって試合に入ったロナウドは、動揺が隠せないままだった。前半はチャンスを作ることすらできないでいた。サポーターの歓迎が、ロナウドの戦意を少々そいだようだ。ロナウドの案外人間くさい一面を見せられたような気がした。

 アウェーでのファーストレグを1-1で折り返していたマンUがベスト8入りするためには、勝利か、もしくは0-0で試合を終えることが必要だった。一方のレアルは勝利か2-2以上の引き分けが条件になる。マンUが守り、レアルは攻める。戦い方は自ずとはっきりしていた。

 だが前半、ロナウドだけでなくレアルの攻撃陣は封じ込められた。マンUは徹底して守備的に戦い、カウンターからチャンスをうかがうのみだった。全体がコンパクトにまとまり、身体を張って相手の攻撃の芽をつぶしにいく。レアルの心臓・エジルもファーストレグほどの輝きを見せることはできなかった。一方でマンUの渾身の守備がいつまで耐え切れるかも、時間の問題のように見えた。激しい運動量が最後まで続くわけはないように感じられた。

 0-0で折り返した後半3分、先制点がマンUに入る。右サイドのラファエルのドリブルから攻撃が始まり、バランがクリアしたボールをナニが拾って左からクロスを入れると、ウェルベックがかすかに触ってセルヒオ・ラモスの足にあたり、オウンゴールとなった。

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