【CL】レアルにドローも、マンU香川真司「はじめての充実感」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 この日の香川の先発出場には大きな期待が込められていた。リーグ戦ではここ2試合出場機会がなかった。日本代表ラトビア戦前のフラム戦はベンチ入りしたものの出場せず。3日前のエバートン戦はベンチ入りすらしなかった。

「よりフレッシュな状態で使うため」と、ファーガソン監督はその理由を明かしていた。

「そういうところで出してくれる監督の期待に応えたかったですし、結果が欲しかったから集中して試合に挑みましたが、なかなかチャンスというものは訪れなかった。こういうレベルの高いところだと、なおさらチャンスは訪れない。でもチャンス以前に、もっともっと個人のレベルを上げていかないといけないなと思います」

 試合はレアル・マドリードに押し込まれる時間が圧倒的に長く、支配された。先制点になった前半20分のCKは香川が得たものだったが、それ以外のほとんどのシーンで相手守備が上回った。香川だけでなく、チーム全体が苦戦を強いられ、中盤のスペースを上手く使うことができなかった。

「今日は押し込まれていたから、つないでいくのは難しかったし、僕らがボールを支配しているという展開がなかった。僕は後ろ向きで受けたり、ディフェンスを背負った状況でボールを受ける回数が多かった。前を向いてボールをもらえる場面を増やしていかないと......。そうすればコンビネーションというのは生まれてくるのだけれど、今日はそれ以前に、なかなか動けなかった」

 マンチェスター・ユナイテッドに移籍し、なかなか思うようなプレイができないでいる香川。普段であれば「得点をしないと」「90分出場したい」と、不満げに繰り返すところだが、この日の表情はまったく違った。

 年月が経過した時に、香川自身が強い印象を受けた試合として思い返すことになる一戦だったのではないだろうか。

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