【ドイツ】名門レバークーゼンで細貝萌が定位置を確保できた理由

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

年内最終戦でボルフスブルクの攻撃の中心、ディエゴを徹底マークする細貝年内最終戦でボルフスブルクの攻撃の中心、ディエゴを徹底マークする細貝 アウフスブルク時代も、そしてレバークーゼンに移籍してからも、細貝萌は定位置が用意されていないところからスタートし、ポジションを勝ち取っている。今季の長谷部誠(ボルフスブルク)のように、事情があって干されても腐らずトレーニングに励み、チャンスが来たら一発回答を突きつける、というパターンとも違う。長谷部の場合はもともとの評価と期待値が高かった。

 細貝はそうではない。特に今季の名門レバークーゼンでは、ヨーロッパリーグを戦うためのターンオーバー要員だと見られていた。代表クラスがそろい、細貝の本来のポジションであるボランチも、ラースベンダーというドイツ代表の好選手がつとめている。客観的に見て細貝のチャンスは少なく、厳しい道を選択したかに思われた。ドイツ国内でも、この冬にはアウフスブルクへ戻るのではないかという報道が流れた時期さえあった。

 細貝は期待が少ないところから徐々に評価を勝ち取り、最終的にはそれを確かなものにしていった。一発回答を突きつけるのももちろん容易なことではないが、細貝のように常に自分を見つめながら確実に上昇していくのも、誰にでもできることではない。
   
「アウフスブルクに行ったときも自分にはポジションがないと思っていたし、もちろんレバークーゼンに来たときも自分の力で奪っていこうと思ってきた。どこにいてもどんな状況でも、自分のメンタルは変わることはないかな、と。(先発出場を続けているが)全然結果が出てるとは思ってないし、ピッチに立つ時間が長いだけ。ピッチに立った時にできることももっとあると思っています」

 その言葉には強い自覚がにじむ。

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