【スペイン】ダービーにも地元メディアにも完勝したモウリーニョ

  • 山本孔一●文 text by Koichi Yamamoto
  • photo by Mutsu KAWAMORI/MUTSU FOTOGRAFIA

マドリードダービーを前に姿を現したモウリーニョマドリードダービーを前に姿を現したモウリーニョ クリスティアーノ・ロナウドの1得点1アシストの活躍で、2-0とレアル・マドリードがアトレティコ・マドリードに勝利したマドリードダービー。21世紀に入ってこの対決で勝ち星をあげていないアトレティコの勝利が期待されたほか、首位バルセロナへの挑戦権の意味でも大きな意味を持つ対戦だったが、試合開始の笛が鳴る前にレアル・マドリードファンにとって大きな意味を持つ出来事があった。

「自分は21時20分にピッチに出る。自分を批判したい人間がいるのであれば、そこでブーイングを飛ばせばいい。自分はそれを落ち着いて謙虚に受け止める。だが、40分には選手達がウォーミングアップに出る。それからはチームの後押しをして欲しい」

 モウリーニョはマドリードダービー前日の記者会見で、自分に対する批判の声を聞くことを宣言した。ことの起こりは前節ベティス戦に敗戦し、首位バルセロナと勝ち点差11をつけられたことにあり、サンティアゴ・ベルナベウでの国王杯対アルコジャーノ戦でウルトラスのモウリーニョコールに対してスタンドからブーイングが出たことにある。

 その言葉通り、モウリーニョは時間通りにピッチに姿を現し、約2分間、トレードマークのコートに手を入れながら、スタンドの反応を受け止めていた。観客の数は3000とも5000とも言われる少ないものだったが、彼らの出した答えはポルトガル人監督を後押しする声援と拍手。批判を意味するブーイングは皆無といって良いものだった。

 地元メディアは、観客数の少なさから、「モウリーニョお得意のショーでシナリオ通りにマドリーファンから支援を獲得した」と伝えている。だが、果たしてそれは正しいものだろうか。

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