2012.11.10

【イタリア】モンテッラが変身させたフィオレンティーナが面白い

  • 内海浩子●文 text by Uchiumi Hiroko
  • photo by Getty Images

現役時代はローマで中田英寿の同僚だったことでも知られるモンテッラ監督 今季のセリエAで最も面白いサッカーをすると言われているのがフィオレンティーナだ。

 この夏、B落ちの危機にさらされた昨季からの再建を期し、大幅に選手を入れ替えた。新加入は総勢18名。しかも移籍市場閉幕ギリギリでやって来た選手もいたから、監督のモンテッラが「ナポリ戦(第2節)では互いに名前すらまだよくわかってない選手もいた」と苦笑いするほど。そんな状況の中、インテルやユベントスと当たった滑り出しは、いいゲームはしながらも星の取りこぼしがあったが、ここにきて3連勝して一気に順位を上げてきた(11節現在4位)。

 補強選手の中で最大ヒットと言われているのがクアドラードで、早くもクルバ(ゴール裏のサポーター)のアイドルだ。走力抜群で、スピードとテクニックに意表をつく動きが加味されたスペクタクルな攻撃的サイドである。彼と並んで光っているのがボルハ・バレロで、そのパフォーマンスはカンビアッソのインテルでの1年目のインパクトを思い出させる。

 ボルハ・バレロ、ピサーロ、ロムロというタイプの違う3MFが核となる中盤がこのチームの強みと言われているが、ロンカリアを中心とした新戦力3DFから成る3バックも"楽しい"フィオレンティーナを支えている。彼らの誰もが守備だけでなく、足技に優れ、即チャンスへとつながるパスも繰り出せるのだ。

 しかし何といっても最高の"補強"はフィレンツェに咲く花、ヨベティッチの残留である。ボンバーではないが、3-5-2で不動のFWとしてコンスタントに得点も決めている。パスクアルやリャイッチもムードの良くなったチームの中で再び輝き出し、近年くすぶり続けてきたトーニにはゴール感覚が戻ってきた。アクイラーニら出遅れている選手もいるが、モンテッラは焦らず徐々に彼らも組み入れていくつもりのようだ。

 サポーターが絶大な信頼を寄せるモンテッラはイタリア人監督の中では異色だ。試合後は勝っても負けても感情表現に大差なく淡々としている。ミスジャッジがあっても、マイクの前で文句を垂れない。そんな性格がチームの穏やかな環境を作り出しているのだろうが、もちろんサッカーはそれだけでは勝てない。彼は持ち駒に適したシステムの選択など、監督としてのセンスを持っているだけでなく、自分のスタッフを選ぶ目もあるように見える。