元ブラジル代表のロナウドが、地元テレビ番組でハードトレーニングを開始

  • text by Michiko Yamamoto

 2年前の2月14日、ワールドカップ通算ゴール数の世界記録を持つFWは、号泣していた。
「もう、耐えられない。僕は自分の体を失ってしまった。僕は続けたかったけれど、体がいうことをきかない。このプレイだと頭に浮かんでもその通りにプレイできない。その時期がやってきたんだ」

 涙をぽろぽろこぼしながら、当時、コリンチャンスの選手だったロナウドは、サッカー人生に幕を引くことを決断した。

 "フェノメノ"(スペイン語で怪物の意)と呼ばれた元スター選手は、現在、再びスポットライトを浴びている。だが、そこはスタジアムではない。"ファンタスティコ"というブラジルで人気のテレビのリアリティショーのスタジオだ。ロナウドは、「人生のクオリティを落としてしまった」肥満と、公の場で戦うことを決意したのだ。

 1996年にバルセロナに来た時、ロナウドの体重は83キロだった。36歳の今、体重は118キロまで増え、ウエストは107センチ、体脂肪に至っては35.24%だ。引退してから、「ちょっとのゴルフ以外」は運動する習慣をまったくなくしたと告白するロナウドは、運動量がゼロになったのと反比例して、食欲は増し、時間に関係なく食べていた。結果、今では「誰もが普通に行なえる、家の階段を昇って自分の部屋に行くという行為すら疲れる」までになってしまった。

 現在、番組の中で、ランニング、ボクシング、水中ウォーキング、縄跳びと数々の運動をこなし、厳しい食事制限に耐えているロナウド。たった10分間、自転車をこぐだけで玉のような汗をかき、苦しげな呼吸にあえぐロナウドの変わり果てた様子を見るのは胸が痛むが、ボクシングのグローブで自分を殴ってみせてジョークを飛ばすその姿は、昔ながらの陽気なロナウドだ。

 ロナウドの目標は「年末に行なうジダン代表とロナウド代表によるチャリティマッチに、まともなフィジカルコンディションで出場したい」というもの。誰もが新たなロナウドとピッチで会えることを心待ちにしている。

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