2012.07.20

【スペイン】シャビは新しいスペインを象徴するプレイヤーだ

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki
  • 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

イタリアとの決勝で鋭いパスを出し続けたシャビ【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】ユーロを連覇したスペイン(前編)

 経済危機に打ちひしがれたスペインが国の模範となるべき人物を探しているなら、一番の候補はフットボール選手のシャビだろう。

 このスペイン代表の小柄なプレイメーカーは、素晴らしいパスを出すだけではない。カタルーニャ人である彼は、生まれ育った地域とスペインという国の両方に誇りを持てることを人々に示した。地域主義が色濃く残り、それでいてひとつの国家であり、国際社会の一員でもあるスペインを、シャビは象徴している。

 スペインがユーロ2012を制したことで、国民の幸福感は高まった。スペイン人には元気の出るニュースが必要だった。住宅価格は下落し、4人に1人は職がない。EU(欧州連合)による銀行救済措置は決まったものの、さらに大がかりな救済策が必要になる可能性もある。そんな今、長い目で見れば国は前進していることをスペイン人が確認したければ、スペイン代表の歴史をたどるといい。

 1939年から75年に死去するまでスペインに君臨した独裁者フランコ将軍は、代表チームを政治的な宣伝の道具に使った。メディアが試合の模様を伝えるときには愛国的な表現が使われ、選手はファシスト体制を称賛する歌をうたった。