【EURO】連覇に暗雲? 優勝候補スペイン代表の不安要素 (3ページ目)

  • 山本美智子●取材・文 Text by Yamamoto Michko
  • photo by Getty Images

 今回、もっとも不安が残るのが、ディフェンスだ。守護神のGKカシージャスは問題ないが、DF陣で、唯一安定感があるのは、センターバックのセルヒオ・ラモス(レアル・マドリード)のみ。もうひとりのスタメン候補ピケ(バルセロナ)は、国王杯決勝ではいい働きを見せたものの、今季はベンチを温めることが何度もあり、本来の実力を発揮できていない。

 また、右サイドバックと目されていたイラオラ(アスレティック・ビルバオ)も負傷で離脱し、その代わりにフアンフラン(アトレティコ・マドリード)が招集された。左サイドバックに至っては、ジョルディ・アルバ(バレンシア)以外に替えがないという有り様だ。

 ほかに、可能性としてセルヒオ・ラモスに右サイドバックを任せ、今季、ビルバオでビエルサ監督が試したように、本職は守備的中盤のハビ・マルティネスをセンターバックとして起用し、ピケあるいはアルビオル(レアル・マドリード)と組ませるやり方も選択肢としてある。あるいはサイドバックにアルベロア(レアル・マドリード)を置くケースも考えられる。だが、どれもまだこれからテストを重ねていく必要があり、どこまで強固なDFラインを作り出せるかも、ひとつの鍵になるだろう。

 08年の7月にユーロを制覇してから、ここまで世界一の座を譲らずにきたスペイン代表だが、5年目にして初めてかげりが差している。5月30日には韓国との親善試合が行なわれ、これがユーロに向けての実質的な最初のテストとなる。

 デル・ボスケ監督は、「とりあえず、現時点でこれが最終リストだが、万が一、フィジカルに違和感があったり、本調子ではなかったという時のために、韓国戦の後、また考える時間をとりたい」と話し、微調整の可能性も示している。

 ナンバーワンの座を死守しようと、ユーロ本大会への出航前に揺れる「無敵艦隊」。スペイン代表の最初の試運転がどうなるのか注目だ。

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