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【CL】チェルシーを救ったドログバ。
運をたぐり寄せたヒーローの一撃 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

プレミア勢の優勝は4シーズンぶり。ロンドンのクラブとして初のCL制覇となったプレミア勢の優勝は4シーズンぶり。ロンドンのクラブとして初のCL制覇となった だが、チェルシーは土壇場の88分、この試合で得たたった1本のCKを、ドログバが頭で決めて追いついた。

 バイエルンが守備固めに入り、あとは試合終了の笛が鳴るのを待つばかりという、ミュンヘンの祝祭ムードを切り裂く価値ある一発。その後、延長でロッベンがPKを止められるなど、勝負のポイントはいくつかあったが、やはりタイトルの行方を決めたのは、このドログバの同点ゴールだったと言っていいだろう。

 確かに、勝負の決着はクジ引きだったかもしれない。だが、そこでのクジ運を引き寄せたのはドログバだ。チェルシーの初優勝を決めるPK戦のラストキックが彼に巡ってきたのも、そのご褒美だったに違いない。

 思えば決戦前日、誰よりも好奇の視線にさらされていたのはドログバだった。

「明日がチェルシーでのラストマッチになるかもしれませんが......」
「バルセロナから獲得のオファーがあったという噂がありますが......」

 前日会見に現れたドログバに対し、試合とは無関係に、次々とそんな質問が浴びせられた。少なからず苛立ちが見えても不思議はなかったが、ドログバは「バルサからのオファー」についてはきっぱりと「真実ではない」と否定したものの、その他については軽くいなしてこう答えていた。

「重要なのは私の将来ではなく、明日の試合でチームが勝利することだ」

 実際、ドログバはチームの勝利のためにプレイした。試合後、無邪気にピッチ上を駆け回り、誰かれかまわず抱き合う様子からは、言葉だけでなく本心から彼が何を一番に望んでいたかをうかがわせた。

 ピッチ上での歓喜の宴が終わると、ドログバは興奮冷めやらぬといった様子で前日と同じ会見場に現れ、口を開いた。

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