【ドイツ】シュツットガルト5位浮上にも酒井高徳「もっと改善を」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 快勝に見えるシュツットガルトだが、彼らなりに反省点が残る一戦だった。10試合連続先発フル出場の酒井高徳はこう語る。

「相手(が格下だということ)もあって、前がフラットになってしまった。4-2-4のようになってしまって、ボールを当てることも難しかったし、中盤でボールも回らなかった。相手がこうだと前がかりになってしまうし、今日は僕も含めてみんな疲れていた」

 攻めることができる状況で、前にばかり人数が集まり、そのおかげでパスの出しようがなくなり、手詰まりになった。

「ハーフタイムにはもっとアグレッシブにいこうという指示がありました。僕としては攻撃のことを言いたかったし、バランスが気になっていたんだけど......」
 
 チームメイトと少々意識のずれがあったことを、悔しそうに振り返った。それでもシュツットガルトは、前線の得点力と勢いで逆転してみせた。

「こういう苦しい試合で勝てるのは強いチームだということ。でも今日の試合で、どれだけ反省する気持ちが持てるかが大事。(ヨーロッパリーグ出場権が得られる7位以上が目標だが)ELに出ているチームで、こんなに間延びしているチームはない。今日は相手にシュートを決められなかっただけの話。でも今後、改善されるとは思います」

 酒井はあっという間にチームになじんだだけでなく、サイドバックというポジションながら、攻撃の組み立ての際には起点になり、すでにチームメイトの信頼を獲得している。前節はビルト紙のベストイレブンにも選出された。
 
「ビルトが(最高点の)1をつけるのは珍しいって聞きました。そのせいかわからないけど、相手の中盤までも僕のマークに戻ってきた。まるで指示されているみたいだった」と、楽しそうにピッチで見た光景を説明した。

 これでチームは5位に浮上した。4位ボルシアMGとは勝ち点差7の開きがあり、残り4戦での逆転は普通なら難しい。だが、来季はひょっとするとヨーロッパリーグではなくチャンピオンズリーグ(リーグ戦4位以上が出場圏)で彼らの戦いが見られる可能性も......そう思わせる勢いが、今のシュツットガルトにはある。

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