【ヨーロッパリーグ】シャルケ大敗、内田篤人が見たビルバオの強さ (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text Ryokai Yoshiko
  • 木場健蔵●写真 photo by Koba Kenzo

 前半20分。ビルバオの先制点は、シャルケが左サイドからの攻撃をしかけたあと、空いたスペースを使われた。パスをつないでゆっくり攻めながらも、いざチャンスとなると一気にゴール前へ入ってくる。ジョレンテのシュートをGKヒルデブラントが一度はつかみかけながらも放してしまい、押し込まれた。ミスからの失点だった。

 だがその2分後、シャルケはすぐさま同点に追いついた。右サイドで内田がゴールライン際までえぐり、ディフェンダーに寄せられながらもニアサイドに走り込んだラウルに短く速いクロスを入れる。

「フンテラールも見えたけど一瞬ラウルが速く動いた。『フンテラールごめん』って思いながら、ラウルに出した」
 
 ラウルはふたりのディフェンダーの間でボールを受けるとニアを突いた。それまでも、例えば前半12分には左サイドからの攻撃で、ドラクスラーのラストパスを受けたフンテラールがフリーでシュートを放つなど、惜しいチャンスもいくつかはあった。だが、ラウルの大舞台での決定力はさすがのひと言だ。
 
 勝たなくてはならないシャルケ。ステフェンス監督はリーグ戦では見られない早さで手を打った。後半10分にはボランチのホルトビーと左MFのフラドを投入し、左サイドからの攻撃を強化した。前半に比べ運動量が増え、中盤でのボール奪取からゴール前に運ぶシーンも増え、その交代は功を奏した。後半15分には、逆転に成功した。中央で自らのシュートがディフェンダーにあたってこぼれたところを、ラウルが左足で叩き込んだ。

「こういう試合で2点も決めちゃうのってどういうことなんだろう」

 他のアタッカーがいつものようなシュートの体勢にさえ入れない中、ラウルの見せる勝負強さに内田は驚くしかなかった。

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