エムバペの覚醒を間近で見たジェルマンがモナコでのあのシーズンを振り返る「かけがえのないもの」 (2ページ目)
【ファンの記憶に残るモナコの2016-17シーズン】
ただジェルマンのキャリアで最高のシーズンといえば、やはり2016-17シーズンとなる。10代のキリアン・エムバペが台頭し始めたモナコでリーグ・アンを制し、チャンピオンズリーグで強大な相手を次々に打ちまかして4強に進出し、欧州中に衝撃をもたらしたあのシーズンだ。
9年前の当時もすでに、ビッグクラブとそれ以外の格差は広がっていて、モナコのような中規模のチームがトッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティ、ボルシア・ドルトムントを次々に倒していく様は痛快だった。しかもそのチームには大物になる前のエムバペやベルナルド・シウバ、ファビーニョらがいて、彼らはその後、トップ中のトップレベルに羽ばたいていった。
そんなおとぎ話のようなシーズンを演じたチームで、時にキャプテンマークを巻き、前線でエムバペやファルカオとコンビを組んでいたのがジェルマンだ。本人の口から、あの時のモナコを振り返ってもらおう。
「いつ思い出してみても、本当に信じられないことが起きたシーズンだったと感じるんだ」と、ジェルマンは遠くを見るような目で話し始めた。
「私はその前のシーズンにニースにローンに出ていて、1年ぶりにモナコに戻っていたのだが、あのシーズンはチームの雰囲気がとてもよく、試合を重ねるごとに強くなっていく実感があった。ポルトガル人のレオナルド・ジャルディム監督は、選手と密にコミュニケーションを取り、控え選手を含め、全体の結束力を高めていた。またエムバペやベルナルド・シウバ、(トマ・)ルマル、ファビーニョをはじめ、ハングリーな選手が多かった。彼らはチャンピオンズリーグという大舞台で、自分の名前を世界中に知らしめようとしていたんだ」
17歳でそのシーズンを迎えたエムバペは、12月に18歳になった後、みるみる本格化していったという。チャンピオンズリーグでは、前半戦のグループステージで3試合計25分の出場にとどまり無得点に終わったが、決勝トーナメントではシティ、ドルトムント、ユベントスとの6試合で6得点を挙げた。
「2017年に入ってから、エムバペは急に覚醒した感があった。2月上旬のリーグ戦で彼と一緒に2トップを組み、エムバペの2カ月ぶりのゴールが決勝点になった。そこを境に、ゴールマシンになった気がする」
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