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Jリーグ公式も認めたゴールパフォーマー、J3栃木シティ・田中パウロ淳一が「発信」にこだわる理由 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao

【2020年に「パウロチャンネル」を開設】

「僕たちは2年前まで関東リーグで、観客が1000人未満のときもありました。サッカー選手としてプレーする以上、もっと多くの人に知ってもらいたいじゃないですか。選手なら、ファンや子どもたちに応援してもらわないと始まらないですが、J2やJ3の選手って、ファン以外は名前も知らない。それじゃダメですよね。そこで、名前を知ってもらうために始めたのがSNSでした。

 ただ、栃木シティに来る前は、所属するクラブから『あんまりやらないでほしい』と言われることもありました。時間が経ち、ようやく少し風向きが変わってきたと感じています」

 コロナ禍でJリーグの試合が中断しているときには、こんなこともあった。

「当時、僕は契約があったのですが、チームメートのなかにはスパイクを契約してもらえない選手がいました。それなのに、YouTuberがメーカーと契約してスパイクをもらっていた。そのとき、なんでサッカー選手が負けないといけないんだって強く思いました。

 でも、影響力がなければ当然です。サッカー選手である以上、無名で終わりたくはない。だからこそ、自分自身の価値は自分でつくりたい。そういう意味で、栃木シティに来てピッチ内外で認めてもらえているのは、すごくうれしく思っています」

 レノファ山口時代の20年に始めたYouTube「パウロチャンネル」は、開始5年目。TikTokでは、サッカー未経験なのに驚きのテクニックを披露する女子"パウ子ちゃん"に扮した動画が人気で、「蹴り方がロナウドみたいな彼女」「蹴り方がベッカムみたいな彼女」など、200万回以上再生されているものがいくつもある。

「あれはもともとナチョスさんという芸人の方が野球版でやっていて、サッカー版でやったらバズって。でも、『トラップが小野伸二みたいな彼女』や『鈴木優磨くらいズボンをまくりあげる彼女』とか、もうやりきってしまった感もあって、次は何がいいかと頭を悩ませています。

 動画を作るのを手伝ってくれる人はいるものの、ネタは基本的に自分で考えています。いまの子どもはほとんどの情報をスマホ(インターネット)から得ていますが、大人はまだテレビ。どっちの層も取りたいと思うので、簡単じゃない。続けるのもそうですし、ネタづくりは本当に大変です(笑)」

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