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浦和レッズのグスタフソンが語るJリーグと欧州サッカーの違い 「欧州の選手たちはリズムを落とすべき時は落とす」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本の選手の敏捷性や技術はものすごく高い】

 各チームの実力差が拮抗しているからそうなるわけだが、リーグ全体のレベルについて、グスタフソンはどう感じているのだろうか。

「僕が比較できるのは、スウェーデンとイタリアのリーグ、欧州カップ戦、スウェーデン代表での仲間や対戦相手となる。セリエAの上位チームや欧州の代表チームの強豪はこの競技のトップレベルとはいえ、それらのチームや選手と比較しても、J1リーグのレベルはそれほど低くない。選手の敏捷性や技術はものすごく高いよね。だから試合のテンポがスピーディーで、目まぐるしい展開が続く時がある。

 かたや欧州の選手たちの強みは、フットボールの理解力の高さにあると思う。常に素早く動き回るのではなく、リズムを落とすべき時は落とす。なぜなら、戦術的にそうするほうが、相手のギャップを突きやすいし、逆に自分たちの守備陣形を整えやすくなるからだ。どちらがよくて、どちらが悪い、というわけではないけどね」

――アンドレス・イニエスタも、日本人選手には"間"が必要だと言っていた。

「そのとおりだと思う。世界のトップレベルを見ると、スピードの変化が肝心だということがわかるよね。それは攻撃だけでなく、実は守備時にも有効なんだ。どんなにスピードがあっても、同じ速さでプレスをかけるよりも、加減速しながら詰めたり、相手の動きを読んだうえで、ここぞという時に急接近するほうが、ボールは取りやすくなる」

 グスタフソンのプレーを見ていると、バルセロナでイニエスタと共に一時代を築いたセルヒオ・ブスケツに通じるものを感じる時がある。そう伝えると、彼は「サンキュー!」と言って、また声をあげて笑った。

「彼はすごい選手だよね。ただしブスケツは、パスや展開の能力は超一流だったけど、スピードに欠け、フィジカルもそれほど強くはなかった。自分にも似たところがあったから、それらは改善してきたつもりだよ。今ではスタミナもついたし、球際で激しく戦えるようにもなった」

 では、グスタフソンがこれまでに対戦したり、プレーしたなかで、ベストプレーヤーをあげるとすれば、誰になるのか。

「Jリーグの選手で印象に残った選手といえば、昨季のチームメイトのヨシオ(小泉佳穂/現柏レイソル)や、新潟のアキヤマ(秋山裕紀)かな。

 欧州では、代表で対戦したベルギーのケビン・デ・ブライネは、やっぱり別格だった。当時、彼は全盛期で、おそらく世界のトッププレーヤーのひとりだったから。セリエAで対戦したユベントスのパウロ・ディバラやゴンサロ・イグアイン、ナポリのロレンツォ・インシーニェもすごかったな。

 ハッケンではヨーロッパリーグで、シャビ・アロンソが率いたレバークーゼンと対戦したけど、チームとしては彼らが最強だったと思う。ブンデスリーガを無敗優勝した時のチームだからね。中盤では今をときめくフロリアン・ビルツ、W杯王者エセキエル・パラシオス、経験豊富なグラニト・ジャカと対峙したけど、ほとんど歯が立たなかったな」

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