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FC町田ゼルビアのドレシェヴィッチの断食期間の生活リズムとは シーズン中でも「すっかり慣れた」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【自分自身は逆に体が軽くなる気がするんだ】

 彼のルーツであるアルバニアやコソボは、かつてオスマン帝国の領土だったこともある歴史的な背景もあり、国民の大半がイスラム教徒だという。ドレシェヴィッチの家族は皆、その教えを守っている。

「13歳か14歳くらいから毎年断食をしているので、もうすっかり慣れたよ。プロになったのは17歳か18歳だったから、キャリアを通じて1年に1度は断食をしていることになる。

 確かに始まりの頃は、少し辛く感じる時もある。それまでの11カ月間、何の制限もなく食事をしてきたんだから、身体をアジャストさせなければならない。でもそれも数日で慣れるし、自分自身は逆に体が軽くなる気がするんだ。よりエネルギーを感じることもある」

 ちなみにリバプールのモハメド・サラー(エジプト代表)も敬虔なムスリムで、断食期間中だった2019年のチャンピオンズリーグ決勝では、トッテナムを相手に先制のPKを決め、フル出場して2-0の勝利に貢献している。信仰が選手にパワーを与えてくれることは、きっとあるのだろう。

 宗教的な理由により、ドレシェヴィッチは日本でもハラルフードしか食べないという。ムスリムの人々が口に運ぶことができる食べ物の呼び名で、野菜や果物、穀物、豆類、魚介類、牛乳、卵が中心。豚肉やアルコールは禁じられ、牛肉や鶏肉を食べるにはイスラム法に則った食肉処理がされていなければならない。ドレシェヴィッチは続ける。

「僕はムスリムだから、ハラルフード以外は食べられない。だから日本食もあまり食べないんだ。日本にはハラルフードのレストランが多くないので、基本的には家で妻がつくってくれた料理を食べているよ」

 これまでにこのシリーズに登場した選手たちは皆、異口同音に日本食のすばらしさについて語ってきたが、ドレシェヴィッチの口から焼肉や寿司の単語が出てくることはなかった。それでも日本の生活には満足しているようで、休みの日には家族で出かけることも多いという。

「町田からは東京や横浜の街が遠くないので、オフには妻と子どもを連れて買い物や散歩に行くんだ。渋谷、新宿、横浜、表参道あたりで、子どもが楽しめそうな公園で遊んだり、素敵なレストランで食事をしたり。僕らは都会で過ごすことも好きだから、今の生活は気に入っているよ」

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