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横浜F・マリノスに復帰した守護神の「4年越しの決意」 朴一圭「悔しさを晴らしたい」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「お帰り」と言われて...】

「コンスタントに試合を重ねることで、動じなくなってきましたね。味方がミスしてもイライラせず、すぐ切り替えられるようになりました。自分自身も、もっとプレーを見せたい、という余計な気持ちがなくなって。無茶もしなくなったことで、冷静な判断ができるようになりましたね。おかげで、ケガも少なくなりました」

 鳥栖で培ったすべてを、横浜FMで投入する準備はできている。リベロGKとして広い範囲をカバーし、攻守一体のプレーを展開する。本人が理想とする「絶対的守護神」のイメージにどこまで近づけるか。それは4年越しの決意で、彼にとっても未知の領域だ。

「だからこそ、ワクワクしていますね! 自分がどれだけ成長できたのか、それも確かめたい。あと、悔しさを晴らしたいです」

 朴は過去を睨むように言う。

 2019年、優勝に王手をかけ、引き分けでもよかったFC東京戦だった。朴は先発し、2-0でリードしており、優勝GKとしてピッチに立つ栄誉が迫っていた。その時、味方のバックパスはミスと言えるほどではなかったが、球足がやや遅く、そこを相手の快速FW永井謙佑にかっさらわれる。たまらず、足を引っ掛けてしまった。FKが与えられたのと同時に、朴は決定機阻止で退場処分を受けた。

 シャーレを掲げるセレモニーには加わることができた。チームも無事に勝った。しかし、釈然としないモヤモヤが残った。

「集中していたつもりでしたが、魔が差したというか。相手FWの速さを考えたら、自分から向かいに行く選択肢もあったなって。それは"隙"だったと思っています。このままいけば優勝で、大量失点さえしなければよくて......最後までやりきれていなかったですね。だから、鳥栖に来てからも『ホイッスルが鳴るまでやろう』というのはうるさく言ってきました」

 その"隙"を削り取るような作業を、彼は鳥栖で4年間、してきたのだ。

 2019年優勝メンバーは、まだ少なからず残っていたという。喜田拓也、水沼宏太(ニューカッスル・ジェッツに移籍)のふたりにはすぐに連絡を入れた。

「お帰り」

 そう言われて、自分が復帰するんだと実感した。

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