J1の2024シーズンベストイレブンは誰か 圧倒的なパフォーマンスを見せた選手たちがいる (3ページ目)
【多機能性を見せた選手たちがいる】
杉山茂樹(スポーツライター)
この記事に関連する写真を見るFW/鈴木優磨(鹿島)、大迫勇也(神戸)、ジャーメイン良(磐田)
MF/東俊希(広島)、田中駿汰(C大阪)、マテウス・サヴィオ(柏)
MF/ダワン(G大阪)
DF/渡邊凌磨(浦和)、マテウス・トゥーレル(神戸)、佐々木旭(川崎)
GK/谷晃生(町田)
GKは1試合を除く全試合(37試合)に先発を飾り、失点を32に抑えた谷晃生(FC町田ゼルビア)。最後尾の安定が、優勝争いに絡むことができた大きな要因とみる。
DFは3人にした。ひとり目は佐々木旭(川崎フロンターレ)。センターバック兼サイドバックとしてほぼ全試合に出場した多機能性と稼働率の高さ、そしてなにより総合力の高さを評価した。
ふたり目は渡邊凌磨(浦和レッズ)。選んだコンセプトは佐々木と同じ。少なくとも5つのポジション(左サイドバック、センターハーフ、攻撃的MF、左ウイング、右ウイング)をカバーした多機能性に関して言えば、J1最高の選手と思われる。今季、FC東京から浦和に移籍するや、全38試合に出場。その出場時間はJ1の全フィールド選手のなかでも3番目にランクされる。チームへの貢献度はJ1最高と言っても過言ではない。
3人目は優勝チームの最後尾を支えたマテウス・トゥーレル(ヴィッセル神戸)。Jリーグに数多くいる外国人センターバックのなかでも世界的な、Jリーグのレベルを超えたセンターバックと見る。
MFは4人で、ひとり目はダワン(ガンバ大阪)だ。ブラジルサッカーの源流と言ってもいい、ボランチという言葉がしっくりくるブラジル人らしい選手。G大阪が昨季の16位から今季、4位に躍進した立役者をひとり挙げるならば、この選手になる。
ふたり目は田中駿汰(セレッソ大阪)。北海道コンサドーレ札幌から加入した今季、MF兼センバーバックとしてフル稼働。スケールの大きなプレーを見せた。Jリーグを代表する選手。欧州で活躍できそうな選手とみる。
3人目は東俊希(サンフレッチェ広島)。入団7年目にして全試合出場を達成した左ウイングバック。持ち前のパスセンスのよさを活かし、特に攻撃面で貢献。シーズンを通してチームの上位キープに欠かせぬ人物となった。
4人目はマテウス・サヴィオ(柏レイソル)。低迷するチームにあって左ウイング兼ゲームメーカー兼ストライカーとして孤軍奮闘。アタッカーでありながらチームナンバーワンの出場時間を誇った。彼ひとりでJ2降格を阻止した感じだ。依存度は半端なかった。
FWは3人。ひとり目は大迫勇也(神戸)。昨季に続きJリーグの主役を張った。得点こそ半減したが、日本代表でも十分に行ける総合力の高さは34歳になっても相変わらず健在。欧州でもうひと花咲かせてやりたかったといまさらながら思う。
ふたり目は鈴木優磨(鹿島アントラーズ)。アタッカーとしての総合力の高さは大迫に次ぐ存在。選外にするわけにはいかない。
3人目はジャーメイン良(ジュビロ磐田)。山田新(川崎)にすべきか迷ったが、順位が低いチームでプレーしているほうを貢献度が高いとみなし、判断した。29歳にしてひと皮剥けた感がある。
ベストイレブンと言えば、通常なら優勝チーム及び上位チームの選手の割合が高くなるものだ。しかし、今季は通常より上位と下位の差が少なく競った関係にあったため、ベストイレブンもそれに従ってみた。11人中、同じチーム(神戸)はふたり。残りの9人はすべて異なるチームだ。神戸の2連覇に終わった今季だが、どこが勝つかわからない戦国時代を迎えていることは確かである。
著者プロフィール
浅田真樹 (あさだ・まさき)
フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。
篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)
1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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