青森山田に敗れ続けてもまだ挑む 高校サッカー八戸学院野辺地西の冒険「ふり向くな、君は美しい」 (2ページ目)

  • 土屋雅史●取材・文 text by Tsuchiya Masashi

【8年連続同一カード 高校選手権青森県予選決勝】

 11月4日。8年連続で同一カードとなった高校選手権青森県予選決勝。八戸学院野辺地西は県新人大会、インターハイ予選に続いて、三たび青森山田とファイナルで対峙した。

 成田は高校進学時に青森山田のセレクションに落ちている。「『山田を倒せるのは野西しかない』と、『野西で歴史を変えたい』と思ってきましたし、この決勝のためだけに、このメンバーで3年間やってきたので、山田に勝つ自信はとてもありました」。

 センターバックの3年生田村蓮琥は、中学進学時にやはり青森山田のセレクションで不合格を言い渡されていた。「高校に入る時は『山田を倒したい』という気持ちが強かったですし、自分は新人大会とインターハイの決勝に出られなかったので、ずっと青森山田との試合に出たい気持ちがありました」。

 それぞれが、それぞれの想いを胸に、決戦のピッチへと足を踏み入れた。

 立ち上がりからペースを掴んだのは八戸学院野辺地西。前半19分。3年生のMF芋田脩南が左サイドからクロスを上げると、飛び込んだ成田のヘディングがゴールネットを揺らす。「決めたら絶対にスタンドに行って、応援してくれるみんなと喜び合いたかったので、あれはいい景色でした」(成田)。幸先よく1点のリードを奪う。

 だが、2年生ボランチの阿部莞太はチームの変化を敏感に感じ取っていた。「山田が怖いとかは別になくて、『みんなで守ろう』という感じだったんですけど、点が入ってからはちょっと守りに入ってしまったかなと」。前半終了間際の38分に失点。1-1に追いつかれた格好でハーフタイムに入る。

八戸学院野辺地西は青森山田に先制したゲーム展開だったが...... photo by Tsuchiya Masashi八戸学院野辺地西は青森山田に先制したゲーム展開だったが...... photo by Tsuchiya Masashiこの記事に関連する写真を見る「みんなも『0-0に戻っただけだ』と言っていて、前向きな雰囲気でしたし、後半も最初の15分を集中していれば展開は違ったと思うんですけど、逆に山田がギアを上げてきたなかで、あの失点で流れは変わったと思います」(堀田)

「あの失点」が生まれたのは後半4分。八戸学院野辺地西はPKを与え、逆転を許してしまう。追いかける展開を強いられたチームは、懸命にもう1点を目指して奮闘するものの、相手の堅陣を崩しきるまでには至らない。

 3バックにして勝負に出た終盤の37分には、カウンターから3失点目。「残念ですけど、やっぱり山田は強かったです」(三上監督)。8度目の正直、ならず。2024年の八戸学院野辺地西も青森山田の牙城を崩すことは叶わなかった。

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