青森山田に毎年決勝で全国行きを阻まれる 高校サッカー八戸学院野辺地西の想い (2ページ目)

  • 土屋雅史●取材・文 text by Tsuchiya Masashi

【部員たちは大半が"打倒・青森山田"を志して入学】

 先輩たちの雄姿は、後輩たちにも小さくない影響を与えている。

「山田とPK戦を戦った時の野西(八戸学院野辺地西)の試合をテレビで見ていて、『カッコいいな。僕もここで頑張りたい』という気持ちと『山田を倒したい』という気持ちが強くなって、いろいろなチームから声は掛かったんですけど、野西一択でした」。今年のチームでセンターバックを務めている3年生の田村蓮琥は、2019年のチームに憧れてこの学校の門を叩いた。

 2年生ながらボランチのレギュラーを任され、来季は中心選手としての活躍が期待されている阿部莞太も、2022年のチームを見て八戸学院野辺地西を進路に選んだという。「最初はいくつかのチームと迷っていたなかで、自分が中3の時の選手権の決勝を会場で見ていて、メッチャ興奮したんです。それで『野西に行って山田を倒したい』と思って、ここに入りました」

 真剣に青森制覇を目指す上で、チームも次のフェーズに入りつつある。「県内の選手で勝ちたいなというところにも少し限界を感じて、2年ぐらい前から県外の選手を入れています。今の1年生は県外の子が10人ぐらい来てくれていますし、来年も東京、神奈川、埼玉、栃木、秋田、宮城といろいろな地域から来てくれる予定です」(三上監督)。県外の遠隔地出身の選手も含めて、今では全部員の約半数は寮生活を送っているという。

 昨年の選手権予選決勝では1年生ながらスタメン起用され、全国優勝を果たした青森山田の圧力を肌で感じたGKの喜村孝太朗は東京都出身。「もともと野西自体は知らなかったんですけど、話を聞いたら結構山田と接戦の試合もしていて、勝つチャンスもあると聞いた時に、不安より楽しみのほうが強かったので、『青森に行って山田とやりたいな』って思いました。特に県外から来ている人たちは、『山田に勝って全国に行きたい』という気持ちの強い子が多いですね」。

 やはり近年の部員たちは大半が"打倒・青森山田"を志して、八戸学院野辺地西へと入学してきている。

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