ドキドキのJ1残留争いの安全圏はどこか 福田正博「ボーダーラインは勝ち点40獲得」 (2ページ目)
【開幕前に目指したのは残留ではなかったはず】
川崎フロンターレがこの位置にいるのは、とても残念でならない。2017年から2022年までの6シーズンで優勝4回、2位1回、4位1回と隆盛を誇ったクラブも、昨季は8位で今季も降格圏が見える位置にいる。ただ、彼らが苦戦している原因は、ほかのクラブとは異なる部分もある。それは、先のW杯アジア最終予選に臨んだ日本代表を見れば一目瞭然だろう。
三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)、板倉滉(ボルシアMG)、谷口彰悟(シント・トロイデン)、旗手怜央(セルティック)、田中碧(リーズ)は、川崎フロンターレから巣立った選手たちだ。現時点で所属している高井幸大を含めれば、川崎出身から総勢7名を日本代表に送り出している。
ただし、これがJリーグの置かれた現実でもある。優れた個を揃えて結果を残しても、やがて選手たちは海外へと活躍の場を求めて巣立ってしまう。すぐれた個が揃うチームほど、彼らが抜けた反動は大きく出る。それがいまの川崎の状況というわけだ。
その状況から立て直すのは容易ではないが、それでも高井のような次代を担う逸材をユースから育てているのは川崎の強みだ。シーズン終盤は来季以降につながるような若手選手の起用が増えるタイミングなだけに、川崎には勝敗だけではなく新たな才能の発芽があるかに注目したい。
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