浦和レッズDFホイブラーテンはなぜJリーグへ? 元同僚の「日本自慢」で興味を持った (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【日本へ行くチャンス。挑戦しないわけにはいかなかった】

 今からおよそ2年前、27歳だった頃のホイブラーテンには他国のクラブから移籍のオファーがあった――いくつかのアメリカのクラブと日本の浦和から。その前季となる2021年シーズン(ノルウェー1部リーグ「エリテセリエン」はJリーグと同じ春秋制)まで国内リーグを連覇していた彼なら、西欧のクラブにステップアップすることもできたかもしれない。

「確かにそれまでに多くのチームメイトが、ドイツやフランス、オランダ、ベルギーなどに移っていった。でも当時の自分の年齢を考えると、それらとは異なるチャレンジに踏み出してもいいと思えたんだ。僕はこの仕事を始めた時から、自分がスパイクを脱ぐ時に、絶対に後悔したくないと考えてきた。一度も訪れたことはないけど、興味を持っていた日本へ行くチャンスがあるのなら、挑戦しないわけにはいかなかった」

 彼の前所属先ボーデ/グリムトで共にプレーし、ひと足先に日本へ移っていたキャスパー・ユンカー(現名古屋グランパス)から、この国のことは聞いていた。人々は敬意を持って親切に接してくれ、Jリーグのレベルは高い。元同僚はとても前向きに、自分がいま住んでいる国について、「自慢するように語っていた」という。

 それに優れた日本人選手となら、欧州カップ戦で相まみえていた。2022年2月、UEFAヨーロッパカンファレンスリーグのプレーオフでボーデ/グリムトはセルティックと対戦。ホイブラーテンは2試合とも最終ラインの中央で先発し、連勝と勝ち抜けに貢献したが、敵地グラスゴーでの第1戦でゴールを決められた前田大然のことは、強く印象に残ったという。とくにスピードとスプリント、そして休むことなく走り続けられるスタミナに「感銘を受けた」。またその試合には、旗手怜央も途中から出場していた。

 さらに2022-23シーズンのヨーロッパリーグ(EL)グループステージでは、アーセナルとA組に同居した。敵地ロンドンでの初戦では冨安健洋が先発してホイブラーテンが終盤に投入され、ホームでのリターンマッチではその逆となり、同じディフェンダーということもあって直接のマッチアップはほぼなかったが、日本のトップレベルの守備者とも同じピッチに立った経験がある。

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