J1鹿島・知念慶が抱くボランチ像は稲垣祥 中村憲剛や柴崎岳の「空間を使ったパス」は出せない (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【あえて動きすぎないように立つ】

── 柴崎選手のとなりでプレーして感じることは?

「やっぱり岳くんがボールを持つと、攻撃のリズムに変化が出ます。今季のアントラーズは速いリズムで攻撃し続けることが多かったのですが、そこに変化を加えられる。相手にとっても、その緩急は嫌だと思います。

 また、岳くんは前線の選手たちの動きを見逃さない。自分もFWだったからわかりますけど、パスが出てくると信じられると、FWは走れますからね」

── 柴崎選手からアドバイスをもらうこともあるのでしょうか?

「俺と海舟のふたりは動くことでボールを奪おうとしていましたが、岳くんからは立ち位置によって守ることを教わりました。あえて動きすぎないようにすることで、相手が攻撃を仕掛けられない状況を作り出す。スペースを空けない守備も意識するようになりました」

── またひとつ、新しい引き出しができたのでは?

「一方で、自分の持ち味はハードワークでもあるので、いけると思った時にはいく。それもひとつの状況判断だと思うので、何でもかんでもいくのではなく、前から奪いにいく時とポジションで守る時をうまく使い分けられるように、見極めようとしています」

── その両方にトライしようとしているところが、まさに成長なのでは?

「たしかに(笑)。言われてみたら、そうですね。試合の状況を考えながらプレーできるようになってきていました」

── 三竿選手の存在はいかがですか?

「健斗の加入は、チームにとって、かなり大きな戦力アップだと思っています。選手としての存在も大きいですし、あれだけしゃべれる選手はいなかったですからね。初めて一緒にプレーしたFC東京戦(第24節)で、『しゃべれる選手がいると、こんなにも違うのか』と感じましたから。いいライバルであり、心強いチームメイトです」

── あらためてボランチというポジションにやり甲斐を感じていますか?

「出場時間が多いので、目に見える結果だけでなく、ボールに絡んでいないところのプレーにおいても責任を感じています。自分にしかない手応えなのかもしれませんが、たとえ目立ったプレーがなくても、今日の試合はいい仕事ができたなって感じられる機会も増えてきました」

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