Jリーグは秋春制に移行して本当に酷暑を避けることができるのか? "何か"が起こる夏開催の日本サッカー (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【2026年から秋春制へ 理由の一つは酷暑を避ける】

 Jリーグは2026年から秋春制に移行することになっている。

 秋春制移行の議論は、20年以上前から続いていた。欧州ではほとんどの国が秋春制だ。したがって、国際的サッカーカレンダーもそれに合わせて作られている(たとえば、W杯はシーズン終了後の6~7月に開催)。

「だから、日本もそれに合わせたほうが代表強化や選手の国際移籍、あるいはサッカービジネスのために有利だ」というのが移行論者の主張だ。

 基本的には日本サッカー協会やJリーグは秋春制移行を主張し、クラブや現場は反対だった。

 反対論の根拠は、冬場は日本海側を中心に豪雪に見舞われるので、試合開催が難しいこと。また、大学や実業団などJリーグ以外のクラブは学校制度や会計年度の関係で春秋制にするしかない。

 議論は、20年間すれ違ったままだった。

 そして、昨年の12月にようやく「秋春制移行」が決定された。アジアサッカー連盟(AFC)がチャンピオンズリーグ(ACL)の秋春制移行を決めたことがきっかけだったが、同時に秋春制移行論を補強したのが夏の暑さだった。

 現行シーズン制では、2~3月に開幕したJリーグが佳境を迎えるころに猛暑に見舞われて、いい内容の試合ができなくなってしまう。だから、酷暑の時期を回避して、秋開幕にする。そして、冬場はウィンターブレークを設けるので、現状と大きな変更はない。それが、秋冬制移行論の根拠であった。

 夏場の選手たちのパフォーマンスの低下を示す数字的な証拠(ファクト)をつけての移行論に抗しきれず、ついにクラブ側も秋春制移行を受け入れた。

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