Jリーグは秋春制に移行して本当に酷暑を避けることができるのか? "何か"が起こる夏開催の日本サッカー (4ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【8月上旬スタートでは酷暑を避けられない】

 こうして2026-27シーズンからの秋春制実施が決まったが、Jリーグによれば同シーズンは8月上旬に開幕する。

 しかし、8月上旬と言えば、まさに酷暑のピークを迎える時期ではないか。「夏の暑さを避けるために」という理由で秋春制に移行したのに、暑さ真っ盛りの8月上旬開幕というのはどういうことなのだろうか?

 それまで、J1リーグは18チームで争われていた。それが、秋春制移行を前に2024年から20チームに拡大された。18チーム制なら34節で終了するが、20チームになると第38節まで戦う必要となる。

 だから、8月上旬開幕になってしまったのだ。

 チーム数拡大の理由については「新たな成長戦略に基づき、Jリーグ全体の価値向上を図るべく、各リーグのクラブ数を変更するため」とあるが、読者のみなさん、この理屈、わかりますか? J1リーグのチーム数拡大がなぜ「価値向上」につながるかについて、説明がまったくないのだ(放映権絡みの理由だと言われているが、詳細はわからない)。

 もし、チーム数が18チームのままなら34節で済むので、秋春制のJ1リーグの開幕は8月下旬か9月上旬に設定できる。

「酷暑を避けるため」という理由で強引に秋春制に移行しておきながら、チーム数を拡大して8月上旬開幕にするというのは、どう考えても矛盾しているのではないだろうか。

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著者プロフィール

  • 後藤健生

    後藤健生 (ごとう・たけお)

    1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2022年12月に生涯観戦試合数は7000試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。

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