「サッカーはジャズ」と表現する西大伍は今、J3の舞台で何を想うのか...そして「引退」について語る
ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ
第6回:西大伍(いわてグルージャ盛岡)/後編
J3のいわてグルージャ盛岡でプレーする西大伍 photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
◆前編/西大伍は「いかにサッカーを楽しめるか」を追求し続けてきた>>
2018年にクラブ史上初のアジア制覇に貢献するなど、鹿島アントラーズの数々のタイトル獲得に貢献してきた西大伍。そんな彼が8シーズンにわたって在籍した鹿島を離れ、2019年にヴィッセル神戸に移籍したのは、「サッカーを楽しむことをより追求すること」が理由のひとつだったと言う。
鹿島で、さまざまな"頂点"を味わうほど、その使命感もあってだろう。「高校生の時のように、純粋にサッカーを楽しむ日々はもう過ごせない、という現実を理解するようにはなっていた」と西。だからこそ、楽しむ環境を自ら作り出さなくちゃいけないと考えた。
「プロになったばかりの頃は、試合に出られないことを悔しく思う反面、足りないところがあるのもわかっていたので、まずは自分に向き合うことが先決だと思っていました。でも、キャリアを積んで、いろんなものを身につけていくなかで、ある程度必要なものは備わった、と。
じゃあ、それを今度、どうやって大きくしていくのか、と考えたら、また次のステージの楽しさを求めなければいけないな、と。要するに、刺激ですね。
鹿島での時間はすごく幸せだったけど、それ以上の楽しさ、幸せを見つけるためにも、新しい世界、新しい刺激を見つけに行きたくなった。その場所が海外になれば理想的でしたけど、その道は拓けなかったなかで、国内で味わえる一番の刺激はなんだろうって考えました」
アンドレス・イニエスタ――。世界最高峰と評される選手と同じピッチに立つことに大きな魅力を感じた。
「(2016年クラブW杯決勝、2018年クラブW杯準決勝で)レアル・マドリードと対戦した時に感じた相手との一番の差はプレーの"基準"でした。たとえば、そのひとつが"タイミング"。あのレベルでプレーするには、情報を入れる、アクションをする、ボールを離す、といったタイミングを逸しないボール扱いは当たり前に求められるな、と。もちろん、そこにフェイクの可能性を含んでいることも理解しながら、です。
でも、そうした基準なら、自分が仮にレアルに入って3カ月くらい練習すれば、ある程度は習得できるんじゃないか、とも感じました。そこを備えたら備えたでまた、違うところに差を感じる可能性は大いにあるんですけど。
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